分析方法
実在する東京都心のクリニックの来患数、新規患者数を2008年第10週(3月2日)~第29週(7月18日)までの4カ月半にわたってカウントする。
同クリニックのホームページのアクセス解析ログを収集する(ユニークアクセス数、訪問者ID、アクセスページ情報、アクセス時間、リンク元など)。
統計パッケージを使用して、来患数を目的変数、アクセスログを説明変数とした統計モデル分析を試みる。
収集データの概観分析
来患者数は「その日に来たすべての患者数」、新患もリピーターも含む。診療科の特性により、冬場である3月は来患者数もホームページへのアクセス数も多い。春先~夏場にかけて減少している。実数ではなく指数。
リンク元の概観分析
曜日別。yahoo!から来ている人が一番多い。「医療リンク」とは、病院検索サイトや医療ポータルからのアクセス。
収集データの回帰分析
これらのデータをもとに回帰分析を行ってみると、ホームページへのその日の100人のアクセスに対して、回帰曲線では60人程度が実際に来患していると考えられる。
新患は100人のアクセスに対して10人程度が来患する。これはかなり高い数値であると考えられる。新患のほうが全体の来患者よりもホームページアクセス数との相関性が高いことがわかる。
リンク元についての回帰分析
新患の場合は病院検索サイトや医療ポータルから来る人が多い(因子として相関性が高い)ことがわかる。
来患者数と各リンク元の間には顕著な相関は確認できなかった。
各アクセスページについての回帰分析
患者数/新患者数に共通して地図ページの閲覧との正の相関がみられる。特に地図ページに来た人と新患者数の割合は、P値で0.02未満で有意であるといえる。地図ページが新患としてこのクリニックにかかりにくる人にとって重要な情報であるということである。
各時系列のトレンド間の相関
1週間を周期とした周期性を除去して時系列のトレンドを抽出した後に、抽出したトレンド間の相関性を見てみると、ホームページへのアクセスのトレンドと来患者数のトレンドには相関性があることがわかる。
「来患者数」と「新患数」のトレンドには9割程度の相関性がある。
また「ホームページへのアクセス数」と「地図ページへのアクセス数」のトレンドには94%程度の相関性があることがわかる。
さらに「地図ページへのアクセス数」と「新患者数」のトレンドは71%程度の相関性があることがわかる。
まとめ
本クリニックのサイトにおいては、ホームページへのユニークアクセス数と来・新患者数間に正の相関がみられる。
医療リンク/ポータルサイトからのリンクは、新患者数に正の影響を与えるファクターとみられる。
地図ページアクセスは来・新患者数に正の影響を与えるファクターとみられる。
来・新患者数、ユニークアクセス数、地図アクセスから抽出したトレンド時系列相互には正の相関がみられる。
考察
来患者数は「その日に来たすべての患者数」、新患もリピーターも含む。診療科の特性により、冬場である3月は来患者数もホームページへのアクセス数も多い。春先~夏場にかけて減少している。実数ではなく指数。